BETしたい病
ギャンブル依存症の私の朝はこうだった。
まず、起きてすぐに競輪の車券投票サイトを開く。そしてポイントの確認。このサイトでは、前日の購入分の数パーセントのポイントがもらえるのだ。そのポイントは、商品や現金と交換したり、車券購入に使えたりする。私はもちろん車券購入にポイントを使っていた。
次は各競輪場の午前中のレースの確認と予想をする。そして車券を購入し、朝食を取る。
これが今までの朝の日常だった。
しかし、今日からは違う。このルーティーンと言ってもいい、この一連の流れをしなくてもいいのだ。
断ギャンブルが始まったからだ。
今日は競輪がシステム障害の為中止。そもそも競輪をやろうにもできない状況である。そんな時、これから長く戦い、そして倒すべき相手、ギャンブル魔王が攻撃を仕掛けてくる。
「競輪は中止でできないが、オートレースや地方競馬はやってるぜ。ちょっとだけ賭けてみないか?」
こういったBETしたい病が出て来るのはわかっていたが、こんな早くに来る事に驚く。思っている以上に病は深いようだ。
すでに戸惑いを隠せない私。
ちょっとだけなら…
そんな考えが頭をよぎる。しかし、昨日から始めたこのブログの存在がその考えを断ち切る。高らかに断ギャンブルを宣言した次の日に挫折するなんてありえない!と邪念を払う。
ぐっとBETしたい病を抑える。
ここでBETしたい病を客観的に分析してみる。
自分の感情や肉体はどういった症状になっているのか?
まず胸が締め付けられるような感覚。何か心配事があり、その為に楽しい事があっても心の底から楽しめないような感じに似ている。
そして焦りとイライラ。
例えるならこうだ。
明日は子供の誕生日。欲しがっていたおもちゃが、いつものおもちゃ屋さんで売り切れ。しかたなく違う店へ行くがそこでも売り切れ。時間は夜8時。どのおもちゃ屋さんも9時には閉まる。イライラと焦りが募る。
その時のどうしてもおもちゃが欲しい!という感情と、ギャンブル依存者のBETしたいという感情は似ていると思う。
しかし、こんな感情も時間と共に収まっていく。BETしたい病が出たらギャンブル以外の事を考えたり、行動したりしてみる。
そして、嵐が通りすぎるのを待つように、じっと耐え忍ぶ。
最悪にて最恐の敵、ギャンブル依存症に勝つ為に。